「ねえ旅人さん、此処(6F)で何時まで稼ぐの?」
「取りあえず……ふむ。レベルにして30を目処に」
「マジかよ……気が長いな……」
「……探索範囲は、広げるか?」
「そやねぇ、ウチとしてはそこそこ広げて欲しいんやけど」
ギルド・ユグドールズの面々。
少し前には苦戦していたスノードリフトも、今や格好の経験値の元として見える程になり。
アルケミストの旅人は3種の上位術式を修得し。ソードマンの少女リィは力を磨き。
パラディンの少女ミリディアナは属性防御に手を掛け。
メディックの少女アーリィは状態異常の回復をほぼ極めて。
レンジャーの男性トーンはサジタリウスの矢、なる奥義を修得していた。
「さて、そろそろこの階層の敵も軽く捻れる……行くか」
ギルドマスターの旅人がそう述べ、階段を着実に下る一行。
立ち塞がる毒の沼を越え、強大な力を持つ熊やサソリを仕留め。
巨象と一進一退の攻防の末に討ち果たす事に成功し。
降りていく間にも着実に力を付け、装備を調えていく一行。
「しかし、5日間耐えろと言う依頼でまさかあんな……」
「……抜け道という物はある。そうだろう?」
「……くくっ、確かに」
「でもよ、流石にちょっとさ……」
「せやなぁ、確かに……」
とある依頼では、3日程戦い詰めていたが……手持ちの道具が尽きたその時。
回復の泉の中を歩き回ると言う反則じみた手段で2日を過ごしていた。
泉の内部に敵は出ないと言う性質を利用した抜け道であった。
……そして一行は巨大な獣「ケルヌンノス」と相対する。
レベルにして40と少し。実力で負ける気はしない。
「へへっ……行くぜ!うりゃああっ!!」
「防御陣形を……これでどうだっ!」
「医術防御、効果はアップしとるでっ!!」
「サジタリウスの矢よ……!」
「……雷!」
各々が修得した技をフルに用いて攻撃する。
敵もカウンターや部下の召喚、死の眼光などで着実に攻めてくる……そして。
「電撃の術式……!」
旅人が放つ雷で、とうとう敵は倒れた。その骸から鬣を入手した一行。
……第三階層へと足を踏み入れた一行は、氷の剣士レンよりブシドーの秘術書を受け取る。
そして新たな仲間が増えたのであるが……。
「ふぅん、あなた方が噂の……なるほど、噂に違わず腕は立ちそうですわね」
現れたのは4人のブシドー。
桃色の着物を着た少女を守る様に、男性二名と女性一名が立っている。
「私はトモエと申しますわ。こちらは私の護衛のワタル爺やにタケシ、そしてお目付の……」
「リン、と申す……トモエ姫がご迷惑をおかけ致しますがどうぞご容赦を……」
良く見れば男性二名も懇願する様に手を合わせていた。
何処かの名家の出なのか、彼女らはトモエと呼ばれる少女に仕えているらしい。
そこにバードの少女・ニーナが一人の少女を伴って現れる。
ダークハンターであろう、鞭を片手に不敵に笑う、縦ロールの少女。
「ああ、探しましたよぅ。えーと、こちら新しいギルドのお仲間さんですぅ」
「ふふん。ディアモンド、言いますわ……どうぞよろしくお願いしますわよ……んん?」
と、トモエと名乗った少女と睨みあうディアモンド。どうやら一目会うなり反感を覚えたらしい。
「あらあら、護衛の方々に迷惑かけてそうな女ですわねぇ?」
「露出趣味としか思えない女に言われたくありませんわねぇ」
うふふふふ、と笑いつつ睨みあう二人の少女に一行は溜息。
こうしてギルドに新たなメンバーが、一気に増えたのであった……。
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