「竜と戦うとは思わなかったよな……」
ぽつりと零す様に声を出したのはソードマンの少女・リィ。
彼女が言う様に一行は火・氷・雷を司る三竜との死闘を演じていた。
火竜:偉大なる赤竜との戦闘の切っ掛けは、ワイバーンの巣に起きた異変。
ワイバーンを仕留めた結果、その巣を赤竜が乗っ取ったのである。
巨大な体躯に赤い体色、旅人曰く西洋の竜らしいというその赤竜。
三竜の中で唯一背後を取れる相手ではあったが……。
「……ファイアガード、覚えてて良かったわ……」
ミリディアナが呟き、皆が頷く。そう、火竜のブレスは圧倒的な威力を誇っていた。
リィのチェイスフリーズや旅人の氷結の術式を筆頭に氷で攻めるが……。
相手も尾の一撃や激震を起こしてくる。救いはブレスのタイミングが掴めていた事か。
そうして幾度も戦闘を繰り返し、燃え盛る牙と紅い逆鱗を入手していた。
「氷は、厄介だったけど……」
そう呟くのはアルケミストの少女・シア。
彼女の言う通り、氷漬けの腕を発見して欲しいという依頼から存在を知った三頭竜。
氷竜:氷嵐の支配者は、こちらも防御しなければ一撃で凍り付くであろうアイスブレス。
そして、僅かでも身動きして体調が変わればその隙を付き内部から凍らせる絶対零度。
他にも防御術であるアイスシールドや氷河の再生、貫く氷槍など多彩な技を駆使してきた。
「吸収出来ない状態で助かったでござるな……」
そう、ブレスも吸収さえ出来れば大幅に体力を回復出来た……が。
絶対零度の技はそれを逆手に取る様に、吸収した者を内部から凍てつかせ、殺すのだ。
ユミルやアルル、ルーナの助言にてブレスのタイミングや技の特性を聞いていた一行。
それ故に対策を立てる事が出来たと言っても過言ではないだろう。
そして最初に仕留めた際に逆鱗、次に翼骨を落としていた。
「でもやっぱり厄介やったんは、雷竜と思うわぁ」
メディック・アーリィが溜息と共に呟く。
その対象・雷鳴と共に現れる者は蛇の如く長い体を持つ黄色の竜。
前の2体と異なり、弱点らしい弱点が存在しない敵である。
物理攻撃は効きやすいが、その分特出した弱点がない強敵であり……。
「体力吸収に防御強化。それに……」
「こちらの強化打ち消しでしたねぇ……折角強化したのにですぅ……」
そう、技こそ少ないが攻撃力は三竜随一であり、所有する技にも隙がない。
幾度も闘い、髭と逆鱗を入手して今に至る訳であり……。
「真竜の剣か……苦労したよな……」
3つの逆鱗を元に作り上げられた最強の剣。
それを手に、一行は最深部へと踏み込んでいった……。
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