「むんっ!!」
ハーグと呼ばれる男性がモールを振り下ろし、リザードマンを叩き潰す。
今回の依頼はリザードマン退治、その初戦にて数体の熟練リザードマンに襲われたのだ。
とは言えこちらも十分に経験を重ねた冒険者のチーム、特に問題なく敵を片付けた。
「お、弓発見か……まあ使えそうだし持って行こうか」
リザードマンが落とした宝箱を仲間が開けると、出来の良いショートボウを発見した。
それを携えしばらく進んでいく一行。途中、血の痕が残り鉄の臭いが濃く漂う部屋を通過し……。
「おいおい、もうお出ましかよ……これじゃあ今回も楽しめそうにねえなぁ……らぁっ!!」
リザードマンの王が率いる部隊に突撃する仲間達。
一体の熟練した技で斬りかかってくるリザードマンを正面から叩き潰した……が。
新手の一体の攻撃が僅かにかする。その一体と共に、リザードマンの王はあっさり討ち取られた。
「やぁれやれ、今回はこれで終わりかぁ……さて、次の依頼はと……げ」
酒場に帰った彼を待っていたのは、巷では死亡フラグなどと呼ばれる依頼。
そう、数ヶ月前に初めて仲間の死を目にした元凶……巨大サソリの討伐であった。
「生きて帰るつもりだが……さあて、どうなるかねぇ」
依頼書を眺めながら何処か気怠げに、男性は呟いた。
一方、ミリディアナと呼ばれる少女はコボルト退治の依頼に赴いていた。
入ってしばらくは何事もなく進んでいける。休憩出来そうな場所を見つけたが皆が不要と判断。
更に進んだ所で仲間が罠に気付き、回避出来たなど好調であった。
そしてまずコボルトの一隊を確認する。どうやら手下のコボルト達らしい。
前の依頼での恥を雪がんとばかりに槍を構えて突撃し、一体の体を貫く。
だが抵抗され僅かに切り傷を負い……と、仲間の一人が突撃し、動けなくなっていたコボルトの4体を屠る。
「見事なお手並みですわね……あ、いたた……」
手当てをしながらも賞賛は忘れない。この少女、結構負けず嫌いなのである。
コボルトの群れが居た部屋から進む事しばらく、敵のリーダー格と遭遇した。
仲間達が我先にと敵に飛び掛かる中、自らも得意の突撃でコボルトの一体を刺し貫く。
コボルトリーダーを見てみれば、先程凄まじい活躍を見せた仲間がトドメを刺していた。
「全く……私達は今回、あなたの引き立て役ですわね」
何処か呆れた調子で呟く少女の声は、それでも賞賛と次は負けないとの気持ちが籠もっていた。
どうやら彼女は今回の冒険で僅かなりとも情熱を取り戻したらしかった。
「次の依頼は……コボルト退治。今度こそ活躍して見せますわ……!」
まだ僅かに恐れは残っているけれど、彼女はまだまだ冒険者として生きていくつもりである。
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