「……手札で先が見えすぎるのも困りもの……もうこの稼業は此処までね」
そう呟いて、何処か気怠げに腰掛けている占い師の少女アンジェ。
今回も6~7度に渡る敵との戦闘をあっさり潜り抜け、報酬の倍以上の財宝を見つけ。
そんな状態で情熱が残っていた分の倍以上減少し、引退する事にしたのだ。
「一年も経ってねえって言うのに……まあ、それがお前の道なら構わねえけどよ」
こちらはリザードマン退治を終え無事に戻ってきた槌使いの男性ハーグ。
虎の群れを2度退け、スライムやリザードマンの群れを蹴散らしてきたのだが……。
「まあ、お前はこういうもんに興味薄かったしな」
途中、2度も古い時代の硬貨を見つけ、報酬の3倍もの収穫を手に入れたのだ。
併せて金貨25000枚ほど。情熱も戦闘が楽しめたおかげで回復してきた。
「そうね……それじゃ、これからもよろしくお願いします」
「あ?修行は終わりじゃ……ん?新しい手紙……おいおい、マジかあの婆さん……」
手紙にはこちらが一人前と認めたらまた手紙を寄越すので、置いていてくれと書いてある。
また一人居候が増えるのかと溜息を零し、食費と家賃は稼ぐようにと言い渡す。
「ええ、ありがとう……それからおじ様。また一人増えるわよ?」
「あ?これ以上誰g」「頼もーーーーーーーっ!!」
彼の台詞を遮る様に、一人の女性が飛び込んでくる。
日に焼けた小麦色の肌に日によく映える金色の髪をした活発そうな女性。
「いきなり誰だ……てっ、エールか!?」
「よっ、兄貴久しぶり!元気してた?」
彼女の名はエール。槌使いの男性、ハーグの妹である。
「お前、確か船の護衛になって航海の真っ最中とか言ってなかったか?」
「それがさー。あたしを雇ってくれてた船が嵐にあって沈んじまってね。
何とか修理しなきゃいけないから、金稼ぎしてるんだ♪って言う訳で金貨20万枚位貸しt」
「却下。お前に貸したら返ってくる物も返ってこない。ついでにそんな余裕はねえ」
「嘘付きー、こんなに可愛い子を二人も囲って……って、ありゃ?親戚?」
「今頃気付きやがったのかよ。相変わらず大雑把だな」
二人の掛け合いを愉快そうに眺めるシェリーとアンジェだったが話が向いたのをみて挨拶。
「家番とか家事で雇って貰ってるシェリー、よろしく。後はそう、愛人やってる」
「占い師のアンジェです。仕事は……そうね、彼のお妾さんかしら」
「さらりと根も葉もない嘘を吐くなシェリーにアンジェ」
「へえ、兄貴も手が早いねー……あたしも貞操の危機?」
「信じるな、そして在りもしない危険に身を震わすなこの愚妹」
「という訳であたしは船乗りのエール。二人とも今日から一つ屋根の下と言う事でよろしくね」
「「よろしく」」
「おいコラ、いきなり住む気満々かよ……お前も、家賃と食費は稼いで来いよ」
「りょうかーい」
という訳で、新たに船乗り・エールが家族に加わりましたとさ。
※しばらく関係ないっぽい追記
「ところでおじ様、一つ良い?」
「何だ?アンジェ」
「一人おじ様を恨んでる子がいるわ。おじ様が長生きだから出てこられないって」
「は?何だそりゃ」
「私達を見守ってる人、男女一人ずつがポリシーみたい」
「良くわからんが……変な癖だな」
「そうね、一応冒険に出る準備は出来てるみたいだけど」
「どんな奴だ?」
「男の子よ。学生かしら……あらあら、何だか理不尽な目に遭うみたいね。くすくす」
「お前、何時の間にそんな黒い性格になった……?」
という訳で、7年目に突入したら掟破りで投入予定の男性キャラ。
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