「……ふーん、つまりこの前試しにやった冒険者体験テストの方を見てた訳ですか」
憮然とした表情のセドリック。そう、実は狼討伐依頼を受けていた訳で。
一度は怪我をして動けなかった物の生存、2ヶ月掛けて2体のボス狼を仕留めてきたのだ。
「帰ってきたら死んだと思われてるとか無いよ……まったく」
愚痴るセドリックにひたすら謝るのはシェリー。
彼女がうっかり死亡報告をしてしまったが故の悲劇(ある意味では喜劇)であった。
「まあそれはそれとして……魔女のババァも楽々任務をこなしてるみたいだしな。
何で年齢27って申告してんだよ。いつも13だのと言ってやがるくせに」
そんな彼らを宥めつつ、ハーグが尋ねる。視線の先には椅子に寝そべるセラの姿。
「何、登録出来る歳は15からと言われたしのう……じゃから儂の歳の下2桁を書いただけよ」
実際には100程度年上じゃがな、と笑うセラ。そして彼女の傍らには……。
「あ、あの……それで、ボクはどうすれば……?」
思わず保護欲を掻き立てられそうな、可憐な雰囲気の人物が一人。
彼の名はロラン。森に住む小人とのハーフであり、森で取れる薬草を売って暮らす家の出である。
立派な男性である物の、外見と言い性格と言い何処からどう見ても生まれてくる性別を間違えた様な。
そんなタイプの少年であった。槌使い・ハーグにとっては遠縁の親戚に当たる。
「いや、登録しちまったもんはしょうがないし、頑張ればいいさ。気にすんな」
おどおどと怯えた様に尋ねる彼の頭を撫でつつそう述べるハーグ。
そんな彼の言葉に頬を染め、はにかみながらじっと彼を見上げるロラン。
一部の好事家が見れば何かを掻き立てられる事は間違いないだろう。
……現に、遠目にその様子を見ていた占い師アンジェが何かをメモしている。
「同性同士だけど、これは良さそうだわ……ふふっ」
何か危険な台詞が聞こえた気がして、即座にアンジェの下へ赴き詰問に入るハーグ。
生存祝いを兼ねた今夜も、この家は賑やかだった。
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