連戦に継ぐ連戦。巨大トカゲや死霊、インプにウーズ。
休む間もなく次々と行われる戦闘で体力を回復させる暇もない。
「……全く……年寄りに、無理を、させるで無いよ……!」
息が荒い。幼い容姿の魔女ではあるが、その全身に傷を負っている。
闇の魔法での生命力奪取も追い付かない。そもそも数多く現れてくるのは死霊。
相手も生命力を奪うタイプであり、イタチごっことなってしまったのだ。
「そしてトカゲかぇ……いかんな、これは。儂もヤキが回ったのう」
荒れ狂う超巨大トカゲの攻撃に仲間共々巻き込まれ、吹き飛びながら呟くセラ。
そのまま意識が暗転していき……。
(まあ、死ねはせぬからのう。やれやれ、難儀な事じゃ……)
……数日後、他の冒険者達がトカゲ討伐を完遂した際に、先に訪れていた冒険者の骸を発見した。
死亡していた冒険者は2名、しかし何かを引きずった様な血の後が一つ残っている。
聞いていた話では死者は3名であ流筈。大きさからして子供の様にも見えるが……?
結局彼らにはそれが意味していた所は分からなかった。
そして魔女は舞台から退場し……。
「おい、魔女の婆さんよぉ。何でまだ此処にいる?」
「療養の為じゃ、別に構わんじゃろ?これだけ部屋もある事じゃし」
……てはいなかった。まだまだこの家に住んでいる。
「ついでに一人客人じゃぞ、山の小娘じゃ」
「ああ?またか……今度は誰だ?」
「ん?ああ、ロミ。久しぶり」
現れたのは斧を軽々と抱えた、背の高い山岳民の少女。
名をロミと言い、シェリーの従妹に当たる少女である。
「どうもこんにちは……此処に来れば働き口があるって村長が……」
「便利屋でもなけりゃ仕事場でもないんだがな……まあ親戚筋だ、部屋はあるがよ」
「あ、ありがとうございますっ!斧振るうしか能がない女ですが、頑張りますっ!」
ぺこりと頭を下げるロミ。そうして最初の冒険に向かい……弓矢を拾ってきた。
「これ、どうしましょう……私、不器用ですから……」
「後で使い方、教える」
さて、新米冒険者の彼女、先に待つ物は……?
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