「やっと着いたぁ……みんなと比べて遅れちゃってるのかなぁ?」
新たに世界へ降り立った剣士の少女が空を見上げ呟く。
少女の名はイヴリィ、灰色の髪に小柄な体型をした少女である。
年の頃は17歳、しかし小柄な体格であり年齢よりも幼く見られる事も多い。
が、肉体的なポテンシャルは非常に高く己の体より大きな大剣を自在に振り回す。
もともとはとある小国の姫君であったが、王位継承権が低かった。
政略結婚を行い他国に嫁ぐか、武術や魔術を学び国に尽くすかを問われた際、
面白そうだからという理由で剣術を学んだと言う位に楽観的かつ享楽的な性格である。
師の下についてすぐ、その持ち前の天真爛漫な明るさから仲良くなった者達。
現在では親友として胸を張れる強い絆で結ばれた仲間達を思う。
「エリーゼちゃんは多分困ってないだろうけど……アルマティちゃんとオリビアちゃんはどうかなぁ?
ウリル師匠の所に居た時から二人とも生活力無かったし……うーん」
王族とは思えぬ手際の良さで住居を整え、一息付きながらぼやく。
神官のアルマティと戦士のオリビア。何時も騒動を起こすあの2名は元気だろうか。
そしてそんな2名の起こす騒動に何時も巻き込まれていた魔術師エリーゼ。
「まあ私もエリーゼちゃんには甘えちゃってたけどー……一人じゃつまんないなー」
騒動に巻き込まれて涙目になっている親友を思い出し、少しうっとりと頬を染め。
「……こっちでもあんな風に弄れる友達が欲しいなー」
ぽつりと呟きを漏らす。
余談ではあるがこの呟きを漏らした瞬間、似て非なる世界に居た一人の魔術師の少女の背に、
凄まじい悪寒が走ったとの事である。
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