それは深夜、知り合いの姿をとって現れた……。
始めに現れたのは黒薔薇と呼ばれる女性、工房の主たる少女がお姉様と呼び慕い、敬愛する女性だった。
しかし雰囲気にどこか違和感を感じる。彼女の姿を取ったナニカは聞き慣れぬ言葉と共に包みを差し出した。
少女はそれを受け取ると開きかけ……内部から感じる魔力に手を止めると、即座に雷の魔法で処分した。
「琴お姉様、これはいった……い……?あれ?」
顔を上げた時には女性の姿は無く、ただ開かれた扉とその先に満ちる闇だけがあった。
首を傾げる少女……と、再び人の気配がする。
「あれ、こんな時間にみんなで珍しい、なぁ……っ!?」
顔見知りが来るのはおかしい事ではない。そう、普通ならば。
しかし今宵現れたのは皆眼に虚ろな光を浮かべ、聞き慣れぬ言葉を呟く者達ばかり。
少女は尋常ならざる物を感じ取ると、即座に扉を閉じた。
しかし扉が閉じきる瞬間に自分とそっくりなナニカが生まれた様に見えた。
そして後日、それが間違いでなかったと同じ物を見た知人に聞かされるのだった。
つまりはメッセを介して広まるウイルスの大暴走が元凶だった模様。
送った側にはログが出ないと言う厄介さだとか。
もしうっかり受け取り・解凍・実行しちゃった方は念のためにチェックをしてみましょう。
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