「いやー、やばかったねー!」
ソードマンの少女・リィが斧を片手に返り血を拭いつつ笑う。
「ちょっと、不気味よ……ちゃんと拭いてから笑いなさい」
その隣で疲れた様に息を吐くパラディン・ミリディアナ。
無言で頷くレンジャー・トーンと共に、リィを諫めている。
「まあまあ、ええやないの。こないな大物仕留められた訳やし」
そう困った様に笑うのはメディックの少女・アーリィ。
その手には仕留めた獲物が落とした戦利品をしっかと握りしめている
「……そうだな。手強かった」
そしてギルドマスターであるアルケミストの旅人が倒した相手の姿や強さを記録している。
彼らが仕留めたのは狂える角鹿と呼ばれる魔物。俗に言うF.O.E、いわば強敵の部類。
少し前には同じく強敵の、怒れる野牛を仕留めていた。
この数日で仕留めたのは両者を併せて5匹。流石に連戦は3度が限界であったが……。
「まあいーじゃん、おかげで良い装備も変えたしさ♪」
ニカッと歯を見せて笑うリィに、皆も苦笑しつつ頷く。
彼女、リィは技らしい技こそ持たないがその腕力と小柄さ、武器の遠心力を利用し。
一度に連続して攻撃を仕掛けるダブルアタックの技を磨いていた。
相棒のミリィ曰く「これと決めたら他が見えなくなる」らしいのだが、とても頼もしい。
その彼女・ミリディアナは逆に守りを念頭に置いて戦う。
彼女が考え出した防御陣形や、前列・後列を守るガードには随分世話になっている。
弓手・トーンは援護を主に覚えている。トリックステップと言う独特の歩法を得意としていた。
更にダブルショットという技まで披露し、野牛退治にとても貢献してくれた。
癒し手のアーリィはエリアヒールという全体回復の魔法を修得した。
更に医術防御と言ったか、守りの技を覚えるのだと日々鍛練を積んでいる。
そして……旅人もまた、炎や雷を初級程度扱えるものの、主に氷の術式を。
上位術式に手が届き、一撃の威力だけで言うならば圧倒的な力を振るっていた。
「確かに術式、凄いですけどぉ……」
「まあ燃費が良くないんだよな、術式って」
「ですねぇ。それを支える僕達って素敵?」
そんな事をギルドに戻った際に言われていた旅人。
バードのニーナに加え、新たに二人の仲間が増えていた。
探索専門と自らを称するレンジャー・シークとメディックのサスのコンビ。
彼らは資金やアイテム探しでバックアップすると言い、数日に一度伐採に出向いている。
彼らのおかげで資金やアイテムにもそれなりの余裕が出来ていた。
「まあ世の中持ちつ持たれつって訳だ……アンタらが成功したなら俺等の名前も売れる」
だからしっかり攻略してくれよ?と彼らは笑った。
こうして彼らの冒険はゆっくりと、着実に進んでいた。
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