枯レ森にてモリビト達の殲滅を執政院より任務として与えられた一同。
流砂や隠し通路の犇めく道を越え、大広場に到着。
回復の泉を発見し、拠点を此処に置く事にした。
ギルドメンバーも入れ替わり立ち替わり、モリビト達を退けながら修練を積み……。
「心機一転して、やり直すというのも変な感じよね……」
パラディン・ミリディアナが泉の前で休息をとりつつ、呟く。
そう、メンバーは皆一度引退し、新たに修行を積み直してきたのだ。
以前より確実に力が上がっている気はするのだが……。
「……まあ、色々あったよなぁ」
巨大な斧を背に座るソードマンの少女リィも何処か呆れた様子で呟く。
愛用の斧「星砕きの戦斧」の威力の為に戦闘での中核を担う彼女。
その視線は少し離れた場所で休息をとったギルドの第2パーティに向けられていた。
「トーンさんホントに引退して、代わりに娘さんが入るとは思わへんかったよなぁ……」
そう、此処までパーティの中核の一人であったレンジャー・トーンが故郷へ戻ると告げ。
代わりに彼の娘である若きレンジャー・メロディがギルドに加わったのである。
更に顔ぶれも幾らか変化しており……。
「シークにサスも、独立したからな……」
ギルドマスターたるアルケミストの呟きに、皆頷く。
伐採や採取などで活動を手助けしていた「探索屋」の2名が脱退したのだ。
ギルドの名も売れ自分達もそこそこ有名になった事から独立を選んだ。
最も……。
「まあ正直言えばこれ以上手助けは要らなさそうだしな」
「ええ、私達などこれ以上は足手まといでしょうから」
と、そんな理由で脱退を選んだらしい。離れた今でも連絡は取り合っている。
と、そこに周囲の探索を行っていた第3パーティの皆が集まってきた。
ブシドーのリン、ワタル、タケシの3名にアルケミストのシア、メディックのトールのパーティだ。
前線に立つ3名はそれぞれが異なる構えの剣技を得意とし、いずれも一騎当千の兵。
後列の2名も得意とする炎の術式や回復術で援護を行うため総合力はかなり高い。
「北の方の柱に、獣の爪痕が付いてたよ……少しヤバイかもね、あれ」
「ここから西の方には隠し通路があったでござるよ」
「他に道は無さそうだ……進むなら西じゃろう」
「しかし、恐らくモリビト達も警戒を強めてくるでしょうね」
「……ますたぁ、どうするでござるか?」
別パーティの問い掛けに、方針を考え始めるギルドマスターの青年。
……と、そこに第2パーティの面々が言い争いをしながらやって来る。
「……だから、この子はアタシの為に敵を縛ってたんだって言ってるでしょう!?」
「はん、私の為に敵の守りを崩したと言っているでしょう。聞こえませんの?」
「も~、二人とも落ち着いて下さいよぅ~……」
「……少し、うるさい……」
鞭を腰に括り付けたダークハンターの少女・ディアモンドとブシドーの女性・トモエ。
言い争うその二人に挟まれ、半泣きで仲裁しているのがバードのニーナ。
そしてニーナに抱えられるようにトコトコと歩いてくるのがカースメーカーの少女、レムレスだ。
ぽつりと呟く毒のある台詞に、言い争っていた二人は慌てて口を噤んでいる。
その後ろからはまだ少年と言える年頃の若きパラディンが苦笑しながら歩いてくる。
彼の名はエクス。ミリディアナの弟であり弟子でもある青年である。
「あの二人は相変わらずなの?エクス」
「うん、戦闘になれば息はピッタリなんだけど……どっちがあの子に気に入られるかでね。
ニーナさんが一番気に入られてるみたいなんだけど、そこには絶対触れないんだ」
負けを認めたくないのかな、とエクスは曖昧な表情で呟く。
「まあ装備品の類も充実してきたし……この先の方は僕達が調べてきた方が良さそうですね。
恐らく決戦があるとすれば20F……まだ2階は下ですし、次の回までは様子見程度でしょう。
それに未知の領域に行くならマスター、そちらのパーティの方が経験も実力も上ですからね」
エクスの台詞に第1パーティの皆が頷き、それぞれの行動指針を決め始めた。
「……俺達は獣の爪痕を調べてみる。第2パーティの皆は探索を続行。
第3パーティの皆は……第2パーティの皆と共に行動を。
集合は此処でも良いが……いや、念の為に町へ戻ろう。それで良いか?」
アルケミストの青年の問いに皆が頷く。
こうして、一同はそれぞれ行動を取り始めたのだった。
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