「……揃いも揃って、まあ……確かにお前等の親から推薦状は貰ってるけどよ……」
新たに屋敷を訪れたのはまだ15になったばかりの3つ子の兄妹。
「俺達も、他のみんなみたいになりたくてっ」
そう意気込んで叫ぶのは3兄妹の長男にして只一人の男性、ソル。
オレンジがかった紅髪と緑色の目をした、良く日に焼けた肌をした長身の少年である。
その名の通り太陽の様だと評判であった……頼りになる光という意味でも、暑苦しさでも。
戦闘時は長身と腕力を活かした剛の剣を得意としている。
しかし細かな剣技は苦手な為に妹には軽くあしらわれているとかいないとか。
「……兄さん一人じゃ突っ走ってそうで心配だから、お目付役も必要だし……」
そう言って肩を竦めるのは3兄妹の真ん中、長女のレニー。
兄とは性別から分かる通り二卵性の双子……否、三つ子であり外見は似ていない。
細く色白の肌に菫色の瞳と透けるようなプラチナブロンドを編んで垂らした髪型をしている。
3兄妹の中ではフォローに回る事が多く、気苦労が絶えないと聞く。
戦闘では相手が巧者であればある程自身も力を発揮する技の剣技を振るうらしい。
事実、兄のソル相手なら赤子の手を捻るよりも軽いと断言している。
「あ、あの……私も、頑張りますから……」
そしてオドオドと姉の背に隠れつつそう述べるのが3兄妹の末っ子、次女のリム。
菫色の瞳にプラチナブロンドと姉と瓜二つの容貌だが、雰囲気は正反対。
消極的で気が小さく戦いを苦手としているらしく、兄や姉の影に隠れる事が多い。
まあ兵士の任はしっかり務めており、剣の腕も兄や姉に劣る物ではないらしいが。
事実、その性格から攻めよりも守りの戦闘を得意としており最も長期戦に強い。
「……まあ、良いか。俺も時間があれば稽古を付けてやるから死なない程度にがんばりな。
丁度アレク以外の連中が大怪我だの何だので辞めちまった所だったしな」
そう言って屋敷の主は彼ら3人に滞在許可を出し、冒険者として登録した。
その背後で僅かに青ざめたソル、深い溜息を吐くレニー、大きく震えるリムがいたが、無視。
こうして新たに3人の冒険者が一族に加わったのだった。
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