強い日差しの下を歩き続けた少女は小さなコップを手に取り……。
コップの中にはなみなみと注がれた、良く冷やされた水。
氷の魔法で氷室を作り、そこから取り出した氷を溶かしたそれを、一息に煽る。
頭に鈍痛が走ろうと気にする物か、この至福の時に比べればなんと言う事は無い……!
こくこくと喉が鳴り、コップの中の水が完全に無くなる。
少女は満足げにそれをテーブルに置き……と、服の袖を引っ張られた。
「ん?ナーシス、どうしたの?」
見れば双子の人形の片割れが、抗議するような目線で何かジェスチャーしている。
……どうやら無駄に魔法を使わせるなと言うことらしい。
「あはは、ごめんね。でもやっぱりぬるいと美味しくないし……」
少女は軽く手を合わせて詫びつつも、止めるとは言わなかった。
人形の方も解っているのか、呆れたようなポーズ。
それは夏の暑い日の、一コマ。
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