少女が雨の音で目を覚まして数分の後、少女の元に妹分……アリスが枕を抱えてやって来た。
「アリス、どうしたの?雷が怖い?」
潤んだ瞳で一つ頷くと、少女のベッドの中に潜り込んでくる。その体は小さく震えていた。
「ふふ、あのね。雷も雨も風も、ホントは怖くないんだよ~?」
少女はアリスの背を撫でながら、かつて聞いた物語を語り始める。
「今日みたいな雨も風も雷も、空を司る精霊が舞踏会を開いてる時に起こるんだって。
雷は精霊のダンスの軌跡、風はドレスに付いたリボン。そして雨粒は精霊の身に付ける宝石なんだよ」
ただダンスに夢中になってるから、雷が落ちたり風が変に吹いたり、雨が沢山降ったりするんだって。
そう語り終える頃には、アリスは安心したのか小さく寝息を立てていた。
少女はそれを見て小さく微笑むと、自分も再び休む事にした。
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