ざわめきを記録し音を呼び起こし、声を細分化し抹消し再生する。
音の封じられたその球体を操る人形の顔には狂気めいた笑みが浮かんでいた。
そのざわめきに紛れ込んだその声を確認していくにつれ、笑みはますます強くなり……。
(――――っ!)
人形は愉快で仕方がないと言わんばかりに手で顔を覆うと小さく震えだした。
……成程、こうすればいいのか。こうしてもいいのか。それでよかったのか。
ケタケタと小さな笑い声を上げながら、人形は更に球体の音を聞き取っていく。
人形の宿した狂気を知ってか知らずか、少女は小さな寝息を立てており……。
「……のは、ボク……ふふふっ……」
小さく寝言を呟く。
夢を見ない少女の言葉、そこに意味はあるのだろうか?
PR