それは自動人形・レムドールが身を寄せる孤児院内・子供グループでの一コマ。
「あのさ、ドールは迷宮の魔物とかボスを何回も狩ってるんだろ?」
夕食を終え皆でくつろぐ中、そう尋ねてきたのは金の髪をした少女リンダ。
男勝りで活発な性格であり迷宮攻略にとても興味を持っている。
レシピ工房へのお使いなどで多数の武具を目にして居る為だろうか。
その問いに頷けば、キラキラした目でこちらを見つめてきた。
「じゃあさ、じゃあさ。俺にも勝てるかな?」
それは無謀だ、と仲間達から一斉に声が挙がり、むくれるリンダ。
確かに浅い階層の魔物ならば軽く捻る程度の剣の腕は持っているのだが……。
そう考えながらリンダの様子に苦笑していると、別の子供が声を掛けてくる。
「でしたら……どうやって戦ってらっしゃるか聞かせて頂けませんか?」
落ち着いた声音で強請ってくるのは銀の髪をした少女シエラ。
アイテムの管理や仲間の身の回りの世話をしている穏やかな少女である。
しかしこう見えて弓術や毒物などの扱いに詳しい曲者でもある。
そんな少女も冒険の話にはとても興味津々な様子であった。
「今後の参考にもなるしね、あたしも聞きたいな」
子供グループの財政管理をしている黒髪の少女ルーミィも同意する。
彼女は魔法使いを目指すと公言しておりグループの知恵袋でもある。
自分が稼いできた資金の一部を預けただけで孤児院の経営が一気に楽になったと聞く。
「そうだね~……それじゃあお話しして上げようかな」
そんな少女らの様子に、にこりと微笑んで頷き、話を始める自動人形。