雲に隠れ、僅かに光の片鱗のみが見える月に溜息をつく。
晴れていれば美しい月光を眺められたと思うのに。
「まあ……実際に満月になるのは明後日らしいけれどさぁ……」
やはり七夕などと同じで、晴れていて欲しいと思う物なのだ。
「月見酒で軽く……とか思ってたのに」
しかし酒を切らしていたのに気付いてすぐに団子と茶に路線変更したのだが、
結果は月さえも曇って見えぬと言う状況だ。何となく肩すかしを食らった気分。
「……まあ、良いや……さ、みんな、早めに片付けちゃおうね~」
窓辺に腰掛けて同じ様に空を見上げていた人形達に明るく笑いかけ、少女は空から視線を動かした。
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