何の変哲もない短剣が数十本、長さの異なる鉄針が同じく数十本。木材と金属、石や土が合計数十キロ。
この内短剣六本に針十本を服の袖や胸元、裾に仕込んで使える様に配置。
残りは原料ごと取り込んで、装備を作る材料としてキープしておく。
他にも雑貨や薬、人形類などを併せると取り込んでいる量はどれ位だろう。
維持にかかる魔力も今は一割程度だが、昔ならば八割程は喰われていたに違いない。
「さてさて、久々に整備でもしてみようかな……」
少女の言う整備とは一般で言うのと意味合いが異なる。
どの様な形状か、どの様な性能かを把握し、記憶して何時でも再現できる様にするのだ。
「短剣は……うん、このまま維持。投擲用のはもうちょっと刀身を薄くして……矢は返しをちょっと深く……」
少女の魔力と一体化しているそれらの装備は粘土細工の様に形を変えていく。
やがて数時間程して、整備の作業も終わりを告げた。
「うん、こんな所かなぁ……明日は何か技でも考えてみますか」
装備品を眺めながら、少女はぽつりと呟いた。
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